2011年10月31日月曜日

講義録:まちに絵を描く

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担当:安田駿一
参加者:3名
日時:10月31日(月)
集合:13:00
場所:墨東大学京島校舎
GPS端末を装着して、墨東エリアを歩きながら、GPSの軌跡で絵を描きます。地図を広げて何を描くかを決め、そのルート通りにGPSロガーを装着して歩いてみます。
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10月31日(月)、墨大講義「まちに絵を描く」の参加者(大崎、中島、岡部)は京島校舎に集合し、iphoneの画面に映し出された墨東の地図を覗き込みながら課題の打ち合わせを始めた。天気も恵まれ、墨東エリアのまち歩きには打ってつけの日程となったが、今回のフィールドワークはまち歩きの振り返りとなるフィードバックの"趣旨"が今までと異なる。「この道を歩いたから、hogehogeのような発見や出会いがあった」といった具合に、フィードバックの中で様々な感想が生まれるはずだが、本講義ではまち歩きのルートを参加者が歩いている中で無意識的に考え、且つフィードバックの内容の充実をゴールとしていない。立ち止まった位置情報やそれらに付随する情報よりも、むしろGPSでトラッキングしていく"かたち"が味噌になっている。

フィールドワークをしている中で軌跡を残していくという作業は、たいていはGoogleMapなどを利用することで可能となり、後ほど自分が歩いたルートを確認するというものが一般的だろう。本講義は軌跡(の形状)を予め決めておき、参加者はそのかたちを意識しながらまち歩きを行なうというものだ。

今回はルートの確認をまち歩きの中で随時行い、画面に表示される進行方向と現在地を頼りに、描きたいかたちに忠実に歩くことが前提にある。参加者3名がスマートフォンなどのGPS機能を搭載した端末を片手にそれぞれが思い描く"B"を意識して墨東エリアを歩いた。共通の意識にBokutoの"B"のイメージがある。使用するのはスマートフォンアプリのジオタグアプリケーション"EveryTrail"である(日本語非対応)。まち歩きを開始するその瞬間からアプリを起動し、要所要所で撮影した面白いと思った場所や"、B"を描くうえでネックになるカールの部分などの写真もジオタグされていく。

過去のフィードはまち歩きの中で得られた気づきをもとに、京島校舎の黒板の地図上に感想をチョークで書き込むことで、「それぞれのスポット毎にどのような発見があり、どんな人と遭遇したのか」を共有した。今回はそれらの情報を同時的に残していくことが可能で、ゴールした学生からまち歩きの結果をオンラインにアップロードすることで、出来上がった"B"の軌跡をシェアすることができる(twitterやFacebookなど)。それぞれが、たどる"B"の軌跡がどのようなかたちになるのかワクワクしながら集合場所を目指した。

今回の講義は「まちに絵を描く」ことなので、GPSが筆とパレットとなりMapが画用紙のかわりになっているが、いわば「まち」そのものが画用紙になり、そこを歩く私たちが筆になっているということに気付く。蟻の習性に、「ボールペンで紙の上に線を引くとその上を奇麗に歩く」というものがあるが、今日の講義はまさにそのような感覚に近かった。まち歩きの範囲は限定せず、かたどりやすい道をそれぞれが歩く楽しみが生まれた。アプリは写真を時系列に残すことが可能なので、追体験できることもこの講義のメリットだろう。

[以下、参加者の"B"の軌跡]

大崎(画像有り) 歩いた距離:2.2mile 歩いた時間:1h
http://www.everytrail.com/view_trip.php?trip_id=1345138
岡部(画像無し) 歩いた距離:6,6mile 歩いた時間:2h
http://www.everytrail.com/view_trip.php?trip_id=1345148
中島(画像無し) 歩いた距離:1.6mile 歩いた時間:2h
http://www.everytrail.com/view_trip.php?trip_id=1345154

写真1:スタート地点、「天真庵」にて。


写真2:"B"の曲がり角の四差路。


写真3:ゴールはやはり「天真庵」。角度の他にも、印象として変わって見えてきた。
大崎敬志朗


--------------------------以下、参加者の感想↓

 誰よりも完璧な「B」を描こうとした。そのためには、辛くても「大きく描く」ことがポイントであると考えた。6号線にぬけて八広まで歩く道程は修行だったが、その後「B」のカーブを描く時になると、(GPSロガーのペースにあわせて)自分の歩みを遅くしたり、身体をコントロールしていることに気付いて面白かった。自分の歩いた軌跡がにょきにょきと「意味」を獲得していくことは、私の歩調を軽やかにしてくれた。特に「B」のカーブを描く際、ちょうどよいところに公園や「斜めに抜けられる空き地や道」があると嬉しくなった。
岡部大介


 川を挟んで「B」を描けたら、最後にマップ上で確認した時、面白いのではないかと考えました。なので、天真庵さんを出発し、北十間川を渡り、浅草通りを「B」の縦棒にすることに決めました。
歩いていると、『あれ、完成した「B」だけじゃつまらなくないかな。やっぱその過程も大切だよな…』ということで、急遽「B」を完成するまでの過程を写真に収めることにしました。

その①
『仕切り直して、ここからスタートだ!』

その②
『あれ?まっすぐ進んでるに、なんでまっすぐ線をひかないんだよ…』

その③
『よし!修正してくれた。ここを「B」の中間というか、交わるとこにしよう』

その④
『ここまでで「B」を描くことにしよう!』

その⑤
『またか。なんでまっすぐ歩いてるのに、内側に線がひかれるの…』

その⑥
『後は、天真庵に戻るように「B」を描いて行けばいいかな!』

その⑦
『なんでこういう時は、線をまっすぐ引くわけ?ちょっと内側に入ってほしいのに…』

その⑧
『あ、丸みを帯びれてきた気がする』

その⑨
『路地に入れて、いい感じにできてきた!』

その⑩
『せっかくいい感じにできてきたのに、マンションが邪魔して、曲がれない』

その⑪
『まっすぐ行きたい所で、微妙にまっすぐ描けない。いつもなら気にしないのに…』

その⑫
『あれ…川が邪魔して、これ以上進めない。手を伸ばしたら、少しでも線が引けるかな…笑』

その⑬
『いい感じに、途中まで重なるように戻れてる!』

その⑭
『丸みを帯びさせたかったけど、角張っちゃった』

その⑮
『公園を斜めにいけるこの感じ、直線を描けてる。これはイイ!』

その⑯
『ここから、どうやって丸みを帯びさせていこうかな…』


その⑰
『スカイツリーがよく見える!せっかくだからスカイツリーをバックに撮ってみよう』

その⑱
『路地が入り組んでそうだから、小刻みに動けばいい感じになるかもしれない!』

その⑲
『あれ…?ゴールまで、残りまっすぐな気がする』

その⑳
『ゴール!最後は、出発した天真庵をバックに記念撮影でいいかな』

その②①
『地図を縮小してみよう。なかなかいい感じに描けたんじゃないかな!』


所要時間約35分でした。自分が想像していたより、意外と早く戻って来れました。面白くて、時間が経つのも早く感じたんだと思います。
次から次へと、色々な遊び方が浮かんできました!是非、またやりたい講義です。

(注:『』の中は、その瞬間、瞬間に自分が心の中でつぶやいていたことを文字に起しています。決して、声に出して独り言を言っていたわけではありません。)
中島和成

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